ドン・キホーテ

眠れる森の美女

ジゼル

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バレエ物語 ジゼル

原作 ハイネ『精霊伝説』
音楽 アドルフ・アダン
台本 テオフィール・ゴーティエ
振り付け ジュール・ペロー ジャン・コラリ
初演 1841年


【あらすじ】
〜第一幕〜
村の人気者で踊りの上手な娘ジゼルは、青年ロイスと恋仲。
しかし、母親は突然やってきたロイスに警戒心を持っていて ,
ジゼルを愛している森番のヒラリオンと結婚して欲しいと望んでいる。
しかし、ジゼルはロイスに夢中なのでヒラリオンの求愛をうっとおしく思っている。

体のあまり丈夫ではないジゼルのことを、母親はいつも心配している。
そして、村に伝わる話を聞かせる。
「踊りが好きで結婚しないまま死んでしまうと、この森の奥でウィリーとして、
一生踊り続ける事になるんだよ」と・・・

そんな中、お城の従者がロイスと話している姿を見かけたヒラリオンは、
不審に思ったロイスの家に忍び込み ,ロイスの本性を暴こうとする。
そこには、貴族しか持っていないはずの剣が置いてあったのだ。

村の者ではないと確信したヒラリオンは、
ロイスの正体を暴く機会をうかがっていた。

そんなとき、村をまとめているクルーランド大公率いる狩の一行が、
休息のため村を訪れた。
そこには、大公の娘バチルドもいる。
ジゼルの家は、貴族の方々をもてなすよう命じられる。
バチルドはかわいらしいジゼルに魅せられ、
自分と同じく婚約者がいることを聞き、
お祝いに首飾りを与える。
クルーランド公は、休息が終わったら角笛を吹いて知らせるよう家臣に命じ
紋章のついた角笛を、ジゼルの家の前に置いておく。
その角笛の紋章とロイスの家にあった剣の紋章が
同じことを発見したヒラリオンは、
ロイスの身分が違う事を確証する。

村は収穫祭のまっさかり。ジゼルは収穫祭の女王に選ばれる。
ロイスと、喜び踊るジゼル。
そんなとき、ヒラリオンはロイスが貴族だという事を告げる。
そんなことは信じることのできないジゼル。
そこで、ヒラリオンは角笛を吹き休息中の貴族達を呼ぶと、
バチルドが親しげにロイスに話しかけ、
ロイスがそれに答えるのを目の当たりにする。
そして、村の青年だと信じていたロイスが実は伯爵のアルブレヒトで、
バチルドの婚約者だと知らされる。

ジゼルはショックを受け正気を失い、
狂気の中ロイスとの思い出を胸に息絶えてしまう。

〜第二幕〜
ジゼルの亡くなった日の真夜中。
森の湖にあるジゼルの墓に、ヒラリオンは悲しみにくれやってくる。
この時間は、ウィリたちの現れる時間。
ウィリとは、恋に裏切られ死んだ若い娘の精霊のこと。
ウィリに出会った男は皆死ぬまで踊らされるのだ。
ヒラリオンは、まんまとウィリたちの餌食になってしまった。

その後、後悔にうちひしがれるアルブレヒトがやってくる。
ウィリたちは、アルブレヒトも餌食にしようとする。
そこにウィリになったジゼルがやってきて
アルブレヒトのことを助けてくれるよう懇願する。
しかし、そんなことは聞き入れてくれない。
ジゼルは、必死にアルブレヒトを守り続け、夜明けを迎える。
朝日を浴びてしまうと露となってしまうため、
ウィリたちは墓に戻らなくてはいけなくなる。
アルブレヒトは、ジゼルの強い愛によって生き延びる事ができた。
が、ジゼルは朝日を浴びてしまい露となって消えてしまった。

 

っていうお話なのです。

ジゼルって「儚い・かよわい・可憐」などと形容される事が多いが、
私は
「人のいう事を聞かない思い込みの激しい女の中の女!」な性格なんだと思う。
お母さんは、散々注意しているのだ。
「あのロイスとやらは、どこからやってきたか分からないし、
あそこにずっと住んでる感じでもない。
しかも、仕事をしている風でもない。
あんな人より、ヒラリオンの方が村の者だし、森番だし、
何より子供のころからお前の事を慕ってくれているじゃないの!」
と言っても
「え〜?ヒラリオン?あの人顔が嫌いなのよね〜。あと、田舎臭いし〜。」
とでも言いそうな感じ。
また、
「そんなに踊ってばっかりいると森の奥の恐ろしいウィリになっちゃうわよ!」
と言われても、他の娘さんたちは「怖いわ〜><」って感じなのに、
ジゼルは「また、言ってるよ!でも、私踊るの大好きなんだもん♪」って感じで、
上目遣いをし踊りだしてしまう。
お母さんもそれをみて、あまりのかわいらしさに「やれやれ・・・」と思いつつ、
止める事ができない。

もちろん、ヒラリオンの言う事も聞きやしない。
散々「そいつは、どこから来た男なんだよ!!
ジゼルの事を一時の遊びにしてるなら許さないぞ!!」と言われても
「私たち婚約してるんだもん!!気持ち悪いからあっち行ってよ!!
ねぇ〜、ロイス〜、あの人こわ〜い!!」
って感じで、ロイスの後ろに隠れちゃったりしちゃう。

また、ロイスに対してもワガママっぷりを発揮。
お好きな方も多いのではと思うのだが、「花占い」のシーン。
ヒラリオンに散々色々言われ、ちょっと不安になってしまったジゼルは、
近くにあったマーガレットで花占いをする。途中まで「好き・嫌い・・・」を繰り返し、
最後まで数えてみると最後は「嫌い」になってしまった。
泣き出すジゼル。
それを見て、ロイスは一枚花びらをちぎって
「ほら!もう一度数えてご覧」と花を渡し数えなおすと「好き」に♪♪
喜び二人で踊りだす・・・というシーン。
マーガレット系の花は、花びらが偶数なので
「好き」から始めると絶対「嫌い」で終わることになるのだ。
村に住んでるジゼルがそのことを知らないわけがない!
だから、きっと、ロイスの優しさと愛情を計るため仕掛けたのではないかと、
私は踏んでいるのだがどうだろう?

で、結局お母さんやヒラリオンの忠告を聞かなかったジゼルは、
ロイスの本当の正体を聞き、
しかも自分以外にちゃんとした婚約者がいると知り、
ショックを受けて息絶えてしまう。
しかし、ウィリになったときのアルブレヒトを守り抜く愛は、
生きているときのジゼルの幼稚さとは違い、
とても母性にあふれたものになる。
死ななきゃ治らなかったのかよ!!!と突っ込みを入れたいが、
このウィリのジゼルの性格があるからこそ、このお話はなりたっているのだろう。

そして、当のアルブレヒト。
こいつはどうしようもない男だよ!!
きっと、バレなければ村と城と二重生活を送り続けただろう。
あの態度は、バチルドに嫌気がさしての浮気ではなさそうだから
「こっちも好きだけど、あっちも好き!」的な一番やっかいなパターン。
ちょっと、男性経験の多い女ならすぐにアルブレヒトが怪しいと
見破る事ができただろうけど、そこは初恋だったジゼル。
まんまと騙されてしまう。
朝、狩りで取ってきた鳥を黙って玄関に置いておくシャイな村男のヒラリオンより、
ノックをしてジゼルを呼び出しておいて、家の陰に隠れて待っていて、
ジゼルが出てきたところを目隠ししちゃうなんて小粋なロイスの方が、
一緒にいて楽しいし、色んな会話も出来るだろう。
ヒラリオンじゃ、いい人なことは間違いないけど、
村の行事と狩りの話くらいしかしてくれなそうだものね。
女の人って、分かりやすい愛情表現が好きではないですか?
しかも、見た目も村男みたいなムサクルシイ男ばっかりだったところに、
突然洗練されたセンスとどこか漂う気品を持った王子様みたいな男性が、
目の前にいたら・・・しかもその人が自分のことを好きだといい、
結婚の約束までしてくれたら・・・
ジゼルだって、きっとどこかで信用しきれていないところがあったはず。
だけど、夢見たかったっていうのもあるんだろうね。
気持ち、分かるよ。
だから余計、そんな乙女心を弄んだアルブレヒトは、
最低男だと思うんだよね!!
しかも、最初に墓参りに来たのがヒラリオンで
2番目がアルブレヒトっていうこの順番にも、愛情の深さが出ているよね。
ウィリに取り殺されるかもっていうのは、村の伝説でみんな知っていたんだから、
ヒラリオンももちろん知っていただろう。
なのに、ジゼル会いたさに一番乗りでやってくるヒラリオン。
で、結局ジゼルには会えず取り殺されちゃう。
そして、次にノコノコやってきたアルブレヒト。
よい思い出を胸に亡くなったから、ジゼルはアルブレヒトを助けてくれるよう、
母性にも近い愛情でアルブレヒトを守る。
ここでさ、アルブレヒトがウィリたちにジゼルと一緒になって
「お願い助けて!」ってポーズをするんだけど、
この期に及んで命乞いなんてするな!!って思ってしまう。
助けてもらおうとするんじゃないよ!!って感じだ。
そして、とうとうアルブレヒトは助かる。
そのあと、バチルドと普通に生活しているのかね〜。
「あのときは、ウィリに囲まれてどうしようかと思ったけどさ〜、
オレの一撃で倒したよ!」とか一つ話として、
また若い召し使いの娘を口説いたりしていないだろうか。

と、ここまで、私の見解で色々述べてきたのだが、
こんなに文句タラタラで熱く語っているが、
私はこのジゼルという作品がとってもとっても大好きなのだ。
幕開き前の曲を聞いただけで、その後の展開を思い涙が出てくるくらい好きだ。
どのシーンを取っても素敵で、収穫祭の踊りの華やかさも好きだし
ウィリたちの一糸乱れぬ舞もとても好きだ。
だから、舞台を見ている間は、上記のような事は全く考えられず、
ただただジゼルの世界に浸りきれる。
で、余りのジゼルの健気さ、アルブレヒトの後悔の踊りに心打たれ、
涙し、劇場をあとにする。

あなたも、ジゼルに魅了されてみては?



 

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